情報
妊娠がわかってから流産するまで、いろんなことを検索した。
体調の変化や不安なこと、子供服や準備しなきゃいけないこと、安産祈願やお守りのこと、もらえるお金や出ていくお金、役所での手続きや保険の手続き、流産について…
検査薬で陽性が出てから流産までの一ヶ月、本当にたくさんのことを調べた。
そしてその情報のほとんどが意外なほどに正確だった。
特に流産に関しては。
ネットに書かれてることなんて…と侮ってはいけないなと。。
初めてのことでわからないことだらけだったし、正直最初の先生があまり信用できなかったこともあり、ネットに書かれている情報にはすごく助けられた。
私は同じような誰かのためにネットにあったような有益な情報を載せるほどのことはできないけど、また赤ちゃんが私たちのところに戻ってきてくれた時のために、その時の自分のために、今回のできごとはなるべく残しておく。
夜間診療
20分後に行きますと伝えてから必要なものだけ持ち、病院に向かった。
家の近くでタクシーを拾えたので、声が震えないように行き先を告げる。
「どなたか調子が悪くなったんですか?」
「いえ、私自身がちょっと…」
そこまで言って涙が出てきてしまった。
5分ほどで到着して、インターホンを鳴らす。
助産師さんが出てきてくれて、すぐに診察台に通された。
当たり前だけど、いつもとは違う先生だった。
経腟エコーをして、話を聞く。
・赤ちゃんのサイズに対して袋が成長していない、どこかで成長が止まっているかも
・心拍が確認できない
・サイズが平均より小さい
・このまま流産になる可能性が高い
・普通に生活してて
そんなことを言われた気がする。
最後にお会計をして、助産師さんからも声をかけられる。
・本当に流産になったらもっとお腹も痛いし鮮血が出る
・状況が変わったらまた連絡して
・初期の流産は染色体異常によるものが多い
・お母さんのせいじゃないよ、もしそうなっても自分を責めないで
病院を出ても旦那さんとはまだ連絡が取れなくて、母に電話しながら自宅まで歩いて帰ったんだけど、それはそれで辛かった。
・入院させてもらいなさい
・安静にしてなさい
・そんな病院で大丈夫なの?
・もっと何とかしてもらいなさい
心配する気持ちもわかるし、何とか助けたい気持ちもわかる。
私だって何とかなるものなら何とかしたい、でも何とかなるものじゃないんだよ。
私も先生もどうしようもないことをあなたが何とかしようと思わないでよ。
私だって、つらいんよ。
自宅に着いた頃、ようやく旦那さんと連絡が取れた。
旦那さんが主賓の飲み会だったけど、抜けて帰ってきてくれた。
その日、旦那さんの職場の上司にも妊娠していることを話して欲しいとお願いした。
次の診察は平日だけど、旦那さんも来て欲しかったから。
もしかしたら、そのまま手術の話になるかもしれないと思ったから。
もし手術になったら、帰りは付き添ってほしかったから。
他にももしかしたら、迷惑をかけることがあるかもしれなかったから。
本当は安定期に入ったら報告しようって言ってたんだけど。
腹痛と出血
前回の受診から一週間後、用事で半日くらい外出してた。
久しぶりにたくさん歩いたからかな…?何だかいつもと違うお腹の痛みを感じた。
夕方、外出ついでに友達(妊娠を希望してる)とお茶したのだけど、そこで「妊娠菌」の話題になった。
友「妊娠菌付いたお米ちょーだーい」
私「いいよー、今度持ってくるわー」
最近ニュースにもなってる妊娠菌付きのお米の話をネタに盛り上がる。
最後に「あやかりたい、お腹触らせてー」と言われたので「いいよー」と快諾したものの、友達の手がお腹に触れた瞬間、なんでだかわからないけど、
「ごめんね、もうお腹の子、生きてないかもしれないけど…」
って思ったんだよね。
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次の日の昼間、お手洗いに行ったらおりものがいつもと違うように見えた。
ティッシュにとってみると少し茶色い。
出血?って思ったらパニックになってしまった。
泣きながら旦那さんに電話をして、病院に電話するように指示される。
病院に電話して、今日は一日安静にして、出血の様子が変わってきたら連絡するようにと言われる。
そのまま旦那さんに伝えて、その日は家事もせず、ソファでゆっくりしていた。
夜、旦那さんは「こんな日に限って飲み会になってしまった」らしく、一人お留守番。
にゅるっと嫌な感触がしてショーツを下げると、茶色いかたまりが降りてきてた。
昼以上にパニックになって旦那さんに電話。2回かけても繋がらない。
赤ちゃんを守れるのは自分しかいない!
落ち着いて病院に電話する。
状況を説明して「心配だったら受診しますか?」と言われたので
迷わず「お願いします」と答えた。
心拍確認
初診から2週間後、2回目の受診。
自己計算で妊娠7週、心拍確認できるかなと期待して。
旦那さんは仕事のため、今回は一人で。
もし心拍確認できた時、一緒には見られないから、何とか動画を取れないかな…といろいろと作戦を立てたりした。
・直接先生に「動画撮っていいですか?」って聞く正攻法
・こっそりスマホを袖に忍ばせて撮影する方法
・スマホだと音が出ちゃうから、デジカメを持ち込んでこっそり撮影する方法
結局「もし心拍確認できなかったら…」という恐怖に勝てず、どの作戦も決行できなかったけど。
作戦決行できないまま、診察台にあがってモニターを見る。
前回より少し大きくなった黒い点。拡大すると、白い丸がチカチカ動いてた。
「動いていますね、とりあえず一安心というところかな」
先生は確かにそう言ったんだけど。
病院を出て、旦那さんと母に「心拍確認できたよ」と連絡した。
でもちょっと不安だったんだよね。先生に聞けばよかったのだけど…。
実は前回受診してからYouTubeで心拍確認の動画をたくさん見てた。
たくさん見過ぎてて気付いたんだけど、うちの子、心拍がゆっくりだなって。
「とりあえず一安心」っていう先生の言葉で打ち消されちゃって、聞きそびれてしまったけど。
あとで調べたら、心拍がゆっくりな子は流産になる可能性が高いんだって。
何で先生、私でも気付くようなこと、言ってくれなかったんだろう…。
体調の変化
検査薬を試すまでにも吐き気や倦怠感はあったのだけど、
陽性を確認してから日に日に体調が変化していった。
・お腹が減ると気持ち悪い
・喉が痛い
・眠くて眠くて仕方ない
他にも、味の濃いものが食べたくなったり、イチゴばっかり食べたくなったり、お腹に痛みを感じる日もあるし、普通に流れてるCM見るだけで泣いちゃうくらい涙もろくなったり。
時々、旦那さんにもイライラした。
掃除するのが辛かったり、食事の準備が辛かったりするたびに、
「私は毎日体が辛いのに!」
「あなたの子供を産むために、体が少しずつ変わっていってるのに!」
「男は中に出したら終わりだからいいよね」
って思ったし、直接感情をぶつけたこともあった。
でも旦那さんは怒ったりはしなくて、積極的に家事を手伝ってくれるようになった。
誰かから言われてそうしたのか、自分で考えてそうしたのかわからなかったけど、
すごくありがたかったし、嬉しかった。
産婦人科受診
検査薬で陽性を確認してから5日、旦那さんと産婦人科に行った。
自分の計算だとこの日で5週。
子宮内に着床してれば、少なくともエコーには写るかなと期待して。
病院についてまず問診票の記入。その後、尿検査をして呼ばれるのを待つ。
まだお腹の目立たない方から、もうすぐ出産かな…?という方まで。
私もその内、お腹が大きく目立ってくるのかなって思うと、自然と自分のお腹を撫でてた。
診察室に呼ばれて先生からいくつか質問された後、経腟エコーの検査。
モニターに映った映像の中に黒い小さな点を確認してまずは一安心。
エコーに映るってことは、正常な範囲で着床してるってことだから。
まだ心拍は確認できなかったので、この日確定したことは2つだけ。
・妊娠していること
・子宮内で着床していること(子宮外妊娠ではない)
卵巣や子宮内の状態も一緒に検査してもらってその日は終了。
もらった写真を旦那さんと何度も見ながら自宅まで帰った。
そう言えば、漫画やテレビで見るような、
「妊娠しています!おめでとうございます!」みたいなことは言われなかったな…。
週数についても予定日についても説明がなかったし、
今時流産とかいろいろあるから、簡単にはそんなセリフ言わないのかな…。
帰ってからそんなことを思ったりした。
今思えばその時から先生は、うちの子の未来に気付いていたのかも。
全然そんなこと言ってくれなかったし、言ってくれればよかったのにと思うけど。
陽性反応
4月に入ってから体調が悪く、病気のせいかな…なんて思ったりしてた。
頭痛、倦怠感、喉の痛み、関節痛…
あまりに調子が悪くて血液検査もしたんだけど結果は何も問題なくて、
いよいよメンタルからくるものだと思ってた。
後半に入り、予定日が来ても生理が始まらない。
結婚が決まって避妊しなくなってから1年近く、「まさかね…」って軽い気持ちで検査薬を購入。結果、陽性。
夜、帰って来た旦那さんに報告。
その日の時点で妊娠4週。まだ病院に行ってもエコーに写るかわからないし、心拍も確認できないだろうからってことで次の週、旦那さんが休める日に一緒に病院にいくことになった。
妊娠を希望してたし、することしてればできるってことはわかってたけど、新しい命を授かったことが嬉しくて、まだでも実感のわかない自分もいて、喜んでる旦那さんを見ると嬉しくて、くすぐったいような気持ちになった。