SENSE

清らかすぎる水に、魚は住めない。

夜間診療

20分後に行きますと伝えてから必要なものだけ持ち、病院に向かった。

家の近くでタクシーを拾えたので、声が震えないように行き先を告げる。

 

「どなたか調子が悪くなったんですか?」

「いえ、私自身がちょっと…」

 

そこまで言って涙が出てきてしまった。

 

 

5分ほどで到着して、インターホンを鳴らす。

助産師さんが出てきてくれて、すぐに診察台に通された。

 

当たり前だけど、いつもとは違う先生だった。

経腟エコーをして、話を聞く。

 

・赤ちゃんのサイズに対して袋が成長していない、どこかで成長が止まっているかも

・心拍が確認できない

・サイズが平均より小さい

・このまま流産になる可能性が高い

・普通に生活してて

 

そんなことを言われた気がする。

最後にお会計をして、助産師さんからも声をかけられる。

 

・本当に流産になったらもっとお腹も痛いし鮮血が出る

・状況が変わったらまた連絡して

・初期の流産は染色体異常によるものが多い

・お母さんのせいじゃないよ、もしそうなっても自分を責めないで

 

病院を出ても旦那さんとはまだ連絡が取れなくて、母に電話しながら自宅まで歩いて帰ったんだけど、それはそれで辛かった。

 

・入院させてもらいなさい

・安静にしてなさい

・そんな病院で大丈夫なの?

・もっと何とかしてもらいなさい

 

心配する気持ちもわかるし、何とか助けたい気持ちもわかる。

私だって何とかなるものなら何とかしたい、でも何とかなるものじゃないんだよ。

 

私も先生もどうしようもないことをあなたが何とかしようと思わないでよ。

私だって、つらいんよ。

 

 

自宅に着いた頃、ようやく旦那さんと連絡が取れた。

旦那さんが主賓の飲み会だったけど、抜けて帰ってきてくれた。

 

その日、旦那さんの職場の上司にも妊娠していることを話して欲しいとお願いした。

次の診察は平日だけど、旦那さんも来て欲しかったから。

もしかしたら、そのまま手術の話になるかもしれないと思ったから。

もし手術になったら、帰りは付き添ってほしかったから。

他にももしかしたら、迷惑をかけることがあるかもしれなかったから。

 

本当は安定期に入ったら報告しようって言ってたんだけど。